
ディオーン ・スピヌロサムとは・・・
ディオーン・スピヌロサム(Dioon spinulosum)」は、ソテツ科の中でも特に大型に育つ品種で、「サイカス(Cycas)」ではなく「ディオーン属(Dioon)」**に分類される植物です。ディオーン スピヌロサムは、太古の時代から姿を変えずに現代に生き残る“生きた化石”とも言える美しいソテツ科植物。力強く広がる羽状葉とゆっくりと成長する幹が魅力で、希少性の高さから植物愛好家の間でも注目を集めています。



特徴
- ソテツの仲間の中でも最大級の種で、野生下では高さ12〜15mに達することもあります。
- 葉は羽状で硬く、細かくトゲのある縁を持つため「スピヌロサム(トゲ状)」という名が付いています。
- 成長は非常にゆっくりで、樹形が崩れにくく長寿命。まさに“時を刻む植物”。
- 耐陰性がありながらも、日光を好むというバランスの取れた性質を持っています。
生息地
メキシコ南部の亜熱帯林に分布。標高300〜800mほどの岩場や斜面に自生し、雨季と乾季のある気候に適応しています。
石灰岩の多い場所に自生するため、水はけの良い乾燥気味の土壌を好む傾向があります。
育成方法
光
- 直射日光~明るい半日陰でよく育ちます。
- 室内の場合は、できるだけ南〜東向きの窓際で日光に当てましょう。
- 真夏の強い直射光では葉焼けのリスクもあるため、**遮光(30〜50%)**がおすすめ。
水やり
- 春〜秋の成長期:用土が完全に乾いてからたっぷりと。
- 冬季:断水気味に管理。過湿は根腐れの原因になります。
- 水はけを良くするために鉢底石や素焼き鉢の使用も有効。
温度
- 20〜30℃が生育適温。
- 10℃を下回ると成長が止まり、5℃以下では寒さでダメージを受けやすくなります。
- 寒冷地では冬場は屋内に取り込むか、防寒対策が必要です。
chunsukeが活用している用土
私が使用している用土は以下の通り:
- 鹿沼土(小粒)
- 日向石(小粒)
- 赤玉土(小粒)
この配合は、水はけが非常に良く、ソテツ科の植物にとって理想的な環境を作ってくれます。特に日向石が根の呼吸を助ける役割を果たしており、湿気がこもらず、根腐れ防止にも効果的です。
増やし方
① 実生(種子からの育成)
**ディオーン・スピヌロサムの一般的な増やし方は「実生」**です。
実生の流れ:
- 熟した種子を入手(海外から輸入されることが多い)
- 種をぬるま湯に24〜48時間ほど浸ける
- 湿った鹿沼土やピートモスなどに播種し、25〜30℃で管理
- 発芽までは1ヶ月〜数ヶ月かかることもある
非常にゆっくりと育つため、発芽から成株になるまでには数年単位の時間が必要です。
② 株分け(まれ)
大型の親株から**吸芽(わき芽)**が出ることがあります。吸芽がある程度の大きさに育ったタイミングで、親株から丁寧に切り離して株分けすることが可能です。
ただし、吸芽の発生はまれで、日本国内で株分けできるサイズまで育つのは非常に時間がかかるため、主な増殖手段はやはり「実生」となります。